不幸ネット
 困惑と恐怖で震えていると、玄関の方から何やら音が聞こえてきた。

 ドン……

「いや……っ」

 出そうになった悲鳴をすんでのところでこらえた。

 ドン……ドン……

 誰かがドアをノックしてる……?

 電話への意識はあっさりと消え、私は不規則に音を立てる玄関へと視線を伸ばす。

 ドン……ドン……ドン……

 嫌。

 もう嫌だ……

 次第に大きくなる音に合わせて、私の心臓はもう破裂しそうなほど激しく脈を打っていた。

「お願い……もう、やめて……」

 かすれた声が虚しく宙に消えた。

 ドン……

 祈りが通じたのか、不意に音が止む。

 終わった、の……?
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