不幸ネット
「いやっ……」

 私はたまらず耳を塞いだ。

「ちょっと、良美さん、どうしたの?」

 さすがに様子がおかしいと思ったのか、美樹が私の顔を下から覗き込む。

「音……この前と一緒なの。何これ。何でこんなところでまで聞こえてくるの……」

「良美さん、ちょっと落ち着いて」

 美樹が私の肩に手を回してきたけど、私は構わず頭を振った。

「音って、何? 私には何にも聞こえないよ?」

 心配そうに美樹は私の肩を揺すった。

 聞こえない……?

 嘘だ。

 だってこんなにはっきりと……

 はっ、として私は顔を上げる。

「え……何、で……」

 いつの間にか音は聞こえなくなっていた。
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