不幸ネット
「もしかして私、何か……した?」

 もちろん私にそんな記憶はない。

 私が覚えているのは、美樹がバルコニーを確認するためにカーテンを開けて、その直後、息苦しさを覚えて手先が痺れたところまで。

 あのまますぐに意識がなくなったと思ったけれど、もしかしたら違うのかも知れない。

 私は急に怖くなった。

 ゆっくりと美樹の顔に視線を合わせると、美樹は少し困ったような表情を浮かべていた。

「私、何をしたの……?」

 美樹は黙ったままだ。

「ねえ、教えて? その傷、もしかして私がつけたの?」

 私はたまらずに身を乗り出した。
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