不幸ネット
「ちょっと落ち着いたかな?」

 美樹は穏やかな声で私の様子を伺った。

「うん、おかげさまで、何とか」

 私の言葉に美樹は安堵の表情を浮かべる。

「とりあえず、その、変なメールとか言ってたやつ、見せてもらっていいかな?」

「うん」

 私は床に置いてあった鞄を引き寄せ、中から携帯を取り出す。

 ロックを外しメールアプリを起動する。

 えっと、確か十日ほど前だったかな。

 いくつか溜まった広告メールや迷惑メールをスルーして、私は問題のメールを探る。

 おかしいな……

 見落としたのかと思い、何度か初めからボックス内の履歴を送っていく。

「ない……」

 そこにはあるべきはずのものがなかった。

 そんなはずがないと、再度確認しても結果は同じだった。
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