不幸ネット
「ああ、もういいわ。これは私がやるから。あなたは昨日の企画書の整理でもしておいて。共有フォルダには入れないでね」

「分かりました」

 頭を下げ席へと戻る私の背中に向けて「ほんっと、トロいんだから」と上沼が聞こえるような声でぼやいた。

 はあ……

 溜息は表には出さない。

 何なのよ。

 ムカつく。

 表情はあくまでしおらしく。

 悪態は心の中でだけ。

 昨日言っていた事ともう話が変わってる。

 どこまで意地悪なんだろう、この女は。

 朝から気分が悪いけれど、こんなのはまだほんの朝飯前だ。ここで挫けていたら終業までもたないだろう。

 言われた書類に目を通しながら、各フォルダへと書類データを振り分けていく。
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