不幸ネット
 多少強引だとは思った。

 だけど、最後の確認のために良美の様子を見に行った結果、それは杞憂に終わりそうだ。

 彼女はもうこちら側に帰ってくる事はないだろう。

 自然と笑みが浮かんだ。

 今日この時のためにいろいろと手を回して、準備をして……

 それが無事実を結んだのだから、これほど嬉しい事はない。

 言ったよね?

 人を呪わば穴二つ、って。

 人に呪いをかける時は、自分の墓穴も用意しておかなくちゃいけないんだよ。

 あなたは、私という呪いを上沼に差し向ける事で、自分の人生と引き換えに上沼の命を奪った。

 ただ一つ彼女に対して不憫だったのは、憎くて仕方なかったであろう上沼の最期をその目で見せてあげられなかった事。

 何度も何度も包丁を振り下ろされて、原型もとどめないぐらいに崩壊した上沼の顔。

 あれだけ高慢ぶっていた女の憐れで醜い最期の姿は、今思い出しても全身に快感が走る。

 汚れた血液を噴き出して。

 醜い肉片をぶち撒けてーー
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