不幸ネット
 人を呪わば穴二つ、か。

 特に意味もなく画面を上下にスライドさせながら、私はその一言を頭の中で反芻する。

 どうせあんな奴、生きてても仕方ないよね。

 前回は美樹の話を一蹴した私だったけれど、今日は怒りのせいで冷静さを少し欠いていた。

 一度サイトのホームに戻り、掲示板へと移動する。

 無意識に指が【投稿】ボタンに伸びた。

 どうせ効果がないんだったら……

 軽い復讐の意味も込めて、私はそのボタンをタップした。

「上沼、佳代子っと……」

 つぶやきながら、文字を入力していく。

 【完了】ボタンに指を這わせたところで、私は少し考える。
< 50 / 228 >

この作品をシェア

pagetop