不幸ネット
 そんな事言ってもなあ……

 ヒールを脱ぎ捨て、奥へと向かう。

 ほどいた髪から決して良い匂いとは言えない匂いがする。

 さっさとお風呂に入ろう。

 湯船にお湯が張るのを待てそうになかったので、今日のところはシャワーで済ませる事にした。

 入念に体や髪を洗うと、のぼせない内にさっさとバスルームを出て、全身を丁寧に拭く。

 生き返る……

 ほのかなシャンプーの香りに私は満足して、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。

「結婚か……」

 好きな相手だっているわけじゃないしな。

 ツー、とひんやりとした感覚が喉元を滑り落ちていく。

 私はベッドに横になった。
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