不幸ネット
「いやっ……」

 私は反射的に携帯を放り出す。

 何、あれ……

 裏返しに転がる携帯へとゆっくり手を伸ばす。

 ……♪……♪

「ひっ……」

 指が触れるか触れないかのところで、今度は着信を告げる音楽が鳴った。

 慌てて手を引っ込めると私はその場に固まった。携帯からはまだ音楽が鳴っている。

 どうしよう。

 知っている人からの電話だと申し訳ないので、私は意を決して携帯を掴んだ。

 表に返した携帯のディスプレイに視線を落とす。

 非通知ーー

 これは偶然なんだろうか。

 躊躇していると、相手は諦めたのか画面はロック画面へと戻った。
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