モバイバル・コード
 ささやかなケーキを食べて、それなりに祝ってもらって。

 
 オレは歳をとっていく事に幸せを感じるんだ。


 もっといい稼ぎの仕事が出来るまで、後1年だ。


 18歳になったらすぐに稼げる仕事に就きたいと思ってる。



『カッチカッチカッチカッチ』



 加藤さんが右折方向のウインカーを点けながらオレにつぶやいた。


「なんだ、来週じゃないか。ちょっと待ってろ」


 運転中にも関わらず、この人は携帯電話をいじり始める。


「ちょっと運転中ですよ」


「大丈夫大丈夫、龍一君は真似するなよ」


 つぶやきは上の空に聞こえるが、どこが大丈夫なんだ?


 トラック運転手はカップラーメンを食べながらでも運転しなければやってられない、というのを聞いたことがある。
 


 同時に二つの事を処理出来るなんて凄いな。まるで携帯電話だ。

 
 オレには出来なそう。
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