モバイバル・コード
 2回目となれば対処法はある。

 
 俺は壁にぶつけた携帯を拾い、雷也のベッドに置いた。


 その上に布団を重ね、音をこもらせる。


 多分、ここから3分くらいはうるさいはずだ。


 オレは雷也に目配せをした。雷也は無言で愛梨の背中をさする。


「もう順番は確定したから触った瞬間に登録しますよ、ってか……」


 時間が経って、オレの心も落ち着きを取り戻してきた。


「……雷也、どうする」


 何を意味しているのかとっくに察しているだろう。


 机の上にある雷也の携帯電話をオレが取る。


 オレがホームボタンを触ってもコイツは何も叫ばないはずだ。


 ……やっぱり。


 登録済みの指紋には反応しないらしい。


 雷也は愛梨の介抱をオレに任せると、今静まったばかりの愛梨の携帯を取り出し、布団に自分の携帯を押し込んだ。


 意を決した表情で、ホームボタンを触った。
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