モバイバル・コード
 スーツの男は少しだけ微笑み、オレの方を見た。


「私が用件を聞きましょう。武藤さんは日課の『メール』確認していますか? 私が送った『特情省関連のメール』です。早く確認してください」


「はいはい、署長殿」


 叩き上げ刑事は、奥の事務所に消えた。


「署長、私が事情を聞きますよ」


 先程の刑事とは違う、警察の制服を着た若手の刑事だ。


「いえいえ、私の『お仕事』ですので。小原さんは報告書を仕上げて下さい」


 話し方にも知性を感じる。


「すみません、彼は現場上がりの人間ですので荒っぽいんです。肩は大丈夫ですか?」

 
 涼しく微笑み掛けながらオレの肩を触る。
 

「はい、大丈夫です。それより話を聞いてください」


 この人なら話が分かりそうだ。


 まだ若そうなのに署長という事は相当のエリートなんだな。


「もちろんです。見たところ中高生のように見えますが、事件の通報に年齢は関係ありません。別室でお話をしましょう、来てください」
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