モバイバル・コード
 ターザンロープの遊具で、落ちたら下は池でずぶ濡れになる遊具。


 その公園の中でも、一際、難易度が高いアスレチックがあった。


 木の板が斜めに設置され、向こう岸まで走っていくものだ。


 忍者の壁走りのように、勢いが無ければ途中で水の中に落ちてしまう。


 運動神経には自信があったオレは、我先にと木の板に飛び乗り、走った。


 途中の傾斜がきつく、少しずつ下に下がりながらもなんとか向こう岸まで辿り着く。


 雷也も慶兄も同じように下に下がりながらもなんとかクリアした。


 ただ一人、愛梨は怖がっていた。


 下は水中だからもちろん濡れる。着替えも持ってきてない。

 
 慶兄が笑いながら話した。


「早くしないと日が暮れるぞー」


 雷也も叫んだ。


「愛梨、置いていくよー」


「怖いよ……!! ここだけぬかして先行こうよ……!!」


 愛梨は怯えながらゴール側のオレ達に叫んでいた。


 オレは愛梨になんと伝えたのか覚えていない。


 ただ、オレのセリフを聞いた、次の瞬間に愛梨が走り出した。
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