モバイバル・コード
 雷也は気づいて当たり前という顔をしている。


 雷也のその表情に愛梨は少しだけ綺麗な眉毛を歪(ゆが)めた。


「そう。確かめたかった。生死がかかってる大事な『本戦』なのに、誰も僕達へ連絡をして来ない。

特に、第一位の龍ちゃんなんてすぐに連絡が来てもおかしくない。そして僕達から連絡をしても何も言って来ない。そして謎の同率ポイント」


 更に10分が経ち、雷也が確信を持った眼差しで静かに話した。



『モバイバル本戦』は『30人』じゃない。



──『10組』



 雷也は続ける。


「いいかい、後5分もしない内に『変なメール』が僕達の所へ……3通から6通は届くよ」


 その表情は自信に満ち溢れている。


「ちなみに、さっきの飛び飛びで連絡をしたのは3人1組の連番かどうか確かめたかっただけだよ。ああやって送れば連番じゃなくても等しく『全チーム』に送れる可能性が高いから」


 秀才は本当に頭の回転が速いな。

 
 何より、先に『先手』を打っているのが凄い。


 オレ達がこのメッセージを送っても何も損はしない。


 『情報』だけ入ってくるはずだ。


 『モバイバル管理事務局』からのメッセージを見て、何秒で仕掛けを考えたのか……。


「あたしもなんか変な順番だって思ったけどそういう事なんだね!雷也すっごい、さすがはあたしの『彼氏』だね」


 愛梨の視線がなぜかオレに刺さる。


「雷也、お前……その続きまで考えてるだろ?」


「もちろん、勝負はもう、始まってるよ」
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