モバイバル・コード
 おいおい、雷也。


 お前、まさか種目まで読んでる……


「読めるわけ無いじゃん」


 雷也はオレの心を読んでるかのようにピシャリと言った。


 だよな……。オレはなぜか少しだけ安心した。


 種目まで事務局の文面から読めたらエスパーだろう。


「龍ちゃん、流石にそれは無理だよ。ははは」


 空笑いを伴ってはいるが、雷也も相当疲労困憊の様子だ……愛梨も、オレも。


 でも、今が一番大事。闘いはもう始まっているんだ。


「じゃあ、あの言葉の意味は分かるか?」


 種目は分からないが、何をするのか想像をつける事は出来そうな気がする。


「言ってただろ? あの人が、竜二って人が。『バカは粛清(しゅくせい)する』って」


 雷也はにこりと、爽やかに笑った。


「そこから種目は読み取れない。だけど炙り(あぶり)出しは出来る。言葉が汚いけど『バカ』の炙り出し作業。あの竜二って人がしきりに使ってた言葉」


 なるほど。


「面白いな、最高だ」


「すっごい雷也!さすが私の『彼氏』だね!」


 凄いのは分かってるよ、さっきから同じこと言うなよ。
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