モバイバル・コード
 お風呂から上がった葵は、少しサイズの大きいガウンを着て長い髪を後ろに結っていた。


 湯上りの女の子って、凄く可愛く見えるのはなぜだろう。


 オレの脳内が葵で埋め尽くされる前に、頼まなければ。



「葵、ちょっとだけでいいんだ。携帯のゲーム教えてくれないか? パズルとか、そういうの」


「えっ…う、うん……」


「頼むわ、モバイバルってさっきのサイトで教えて欲しい」



【どうしたの急に…?龍一、携帯のゲーム嫌いだって言ってたよね。】



「いいからいいから、眠いかもしれないけど頼む! 1時間だけ!」



【いいよ、じゃあ一つだけお願い叶えてくれるかな?】



 オレが寝そべるベットの隣に葵も寝転がり、オレの右腕と右足に自分の左腕と右足を絡めた。


 ガウンから覗く白い脚が、オレの生唾を誘発する。



【龍一を近くで感じるのが条件なんだな。これで教えてあげられるね】



 これじゃあ覚えられないだろ……。



【じゃあモバイバルというか、SNSについて教えるね。これがね、アバターでこれがメッセージボックス……】



 とりあえず開始10分くらいは意識を葵に集中させよう。多分ココは要らないところだ。うん。
< 241 / 835 >

この作品をシェア

pagetop