モバイバル・コード
『国営放送』


『ゲーム会社の会長が国営放送でインタビューを受ける』


 正直、どれほど凄い事なのか良く分からない。


 慶兄には最後の時計を貰ってから1年半も会っていない。


 最後に会った時も、忙しいスケジュールを縫ってきたので1時間も一緒に居なかった。


 こういう時は雷也に分かりやすく解説してもらうのに限る。


「なぁ、慶兄ってどれくらい凄い事してるんだよ。オレさ、疎いじゃん?そういう携帯とかゲームの話とか。サッカーで例えてよ」


 雷也は顔を起こしてメガネを外した。


 天井の光にあてながら汚れを確認し、ブレザーの胸ポケットにある青いハンカチでメガネを拭き始めた。


「【Jリーグ、プレミアリーグ、リーガ・エスパニョーラ、エールディヴィジ、セリエA、カンピオナート・ブラジレイロ】などの、

世界のサッカーリーグを一つにまとめた立役者って言えば分かりやすい?」


 なんとなく分かったが、まだ完全に理解は出来ないな。


 雷也がオレのそんな顔色を察してか続けた。



「普通ならそれほどの知名度を持つリーグをまとめるなら、参加して欲しいと運営者側がお金を払う所でしょ? 何をしたのか分からないけど、兄貴が主導となって逆に『お金』を払わせて一つのリーグに全員を参加させたんだよ」



──『世界のサッカーリーグを一つにまとめる』
 

 オレにも分かりやすいように雷也が少し大袈裟に例えたのだろうか。
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