モバイバル・コード
 無意識に大声を発したと同時に、オレは非常階段で下のフロアに飛んでいった。


 そうだ、多分この屋上フロアではない、下のフロアならある、アレが!!

 
 慶兄の『イルミナスタワー』の時に乗ったエレベーターだ。

 
 『直通エレベーター』が必ずある!!


 どうして気づかなかった、確かに初めに入った時にはもう合ったはずなんだ、直通エレベーターが。


 頼む、上に来ていてくれ、頼む。


 俺オレはエレベーターに駆け寄った、女性が一人立っていた。


「す、すいません!! これでオレだけ先に乗せて下さい!!」


 ポケットの中から何枚か札を掴んですぐに渡した。


──『リンッ』


 女性は驚いた顔をしていたが、要望に応えてくれた。


 すぐに1Fのボタンを押して、携帯のタイマーを見る。


『2分50秒』


 多分、このエレベーターは30秒とかからずに下につくはずだ。


 東側に降りたら転がしてあるチャリに乗って、すぐに八百屋に……


──『リンッ』


 よし、早い。


──『ドンッ』


「すいません、すいません!!」


 乗ってくるサラリーマン達に肩をぶつけながらオレはすぐに自動ドアを出て、転がしてある自転車に跨(またが)った。
< 279 / 835 >

この作品をシェア

pagetop