モバイバル・コード
 ピンクの携帯が早くしろと左右に動いた。


 なかなか打てないんだから、変なプレッシャーをかけるなって。
 

 オレは急いで自分の携帯に愛梨の名前と番号を打ちこむ。もうひらがなで、いいや。


 携帯越しに見えるスカートから伸びる白く長い脚が、とても眩しい。


「はーやーく~!」


 少しだけ目線を上に向けると、健康的な肌にニコニコ顔の愛梨がオレを見つめている。


 ……そういうのは止めてくれ。


「愛梨、声が大きいよ。みんな見てる」


 雷也は自分の『彼女』の愛梨にそう伝えた。


 二人が付き合ったのはわずか1週間前だった。


 愛梨から雷也に告白したらしい。


 雷也からはそれしか聞いてないが、よくこの男がOKを出したな、というのがオレの本音だった。


 女にまるで興味ないのに。モテるけどな。
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