モバイバル・コード
 オレは携帯を見ながら雷也につぶやいていた。


「……まぁ、この結果が順当な線だとしてもだ」

 
 オレの視線は画面の一点に集中している。


「なんだよ、このクリアタイム……」


 雷也は片手でメガネを取り外して、目をこすりはじめた。


「……どういうゲームなのか分からない。だけど8分は明らかに短いと思う。この『モバイバル』がそんな短時間に終わる試合を用意するわけがないよね」


 その通り。


 時間が短すぎる、おそらくだが、ゲームは1時間以上はかかるはずだ。


 そんなタイムアタックのようなクリアを狙って、作っているとは到底思えない。


 となれば、答えは一つだろう。


 「マモル」とは戦いたくない。


 だが、どうあっても戦う事になる。


「雷也、2位のこの神託のなんとかは強かったのか……?」

 
 もはやこの世には居ない、過去形になってしまった3人だ。


「もちろん強いよ、特にオンラインのRPGゲームとかで名前を馳せてた連中だよ。マモルよりは劣るけど、僕より数段強いと思う」


 RPGじゃ分からない。もう少し具体性が無いと。


「オンラインのRPGって分からないけど、チームで戦ったりするのか?」


 雷也が目の前のオレンジジュースらしき黄色い飲み物を一気に飲み干した。


「そう、チームワークよりもリーダーの『G.O.D777』 の個人プレイと統率力が強かった。マモルに似てる王様タイプかな。

多分だよ? 僕の予想だけど、この1位と2位の2チームはリーダー同士で戦っているはず」


 雷也が話す事が、少し腑に落ちない。
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