モバイバル・コード
「どういう事だ?リーダー同士って」


「両チーム共に他の二人も強いかもしれないけど、司令塔となるマモルとGODという2人が作戦を出した。だけどGODの方が負けた。だから短時間勝負であっさり崩れ落ちた気がする」


 なんとなくは分かるが、あくまでも類推の上での話。


 事実は……どうなんだろう。確かに雷也のいう通りだったかもしれない。


「つまり、マモルに勝つ為にはどうすればいいんだ?」


 雷也の瞳が、暗い陰りをまとった。 


「龍ちゃんにも愛梨にも言ってないけど、僕の中では色々なシミュレーションを立てた。結果、勝率は5%って所だと思う」


「20回に1回勝つか勝たないか……」


 いや、今はこんな事を考えてる場合じゃない。


「雷也、やめるぞ。もう考えるな。そもそもオレ達はまだ2回戦も突破しちゃいないんだ。気持ちは分かるけど、今はマモルのことなんてどうでもいい。それより……後何時間で始まるんだ?」


 オレは久しぶりに、自分の右腕にある腕時計を見た。


 慶兄から貰った大切な腕時計なのに、携帯で時間を確認しているのに見る機会がドンドンと減っている。


──『ガシャ』


 背後にある廊下へ繋がるドアが開いた。


「ねぇ、どうしたの? なんで二人とも暗い顔してるの??」


 雷也がオレの背中に居る愛梨を見て、瞳孔がバッチリ開いたのが分かる。


 男の瞳孔が開く時なんて一つしかない。


 エロスに準ずる何か、だ。
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