モバイバル・コード
 オレはそっと画像リンクへ指を押し付けた。


「ああっ、このアバターの人、タクシー運転手じゃん!!」


 画面はアクションゲームのようだ。


 『LV:120 HP:0 真雷帝☆のりお☆』と記載されているキャラクターが倒れていた。


 その上に『LV:999 HP:9874 mamoru_001』がのりおに覆い被さっていた。


「これ、どう見てもマモルにあの中年勇者がやられた感じだけど、そうなんだよな……?」


「はぁ……むざむざ僕の宝物をマモルに献上しただけか……」

 
 愛梨も驚きを隠せない様子だ。


「って、どうしてギルドの象徴なのに……剣が奪われたの……? 雷也の仲間って4000人くらい居たじゃん!」


「誰も勇者を守らなかったんでしょ。

『護られ』なくて『マモル』に僕の剣が『守られる』ことになったわけだ。上手いシャレ言ってる場合じゃないね。こんなものどうでもいいよ」


「とりあえず、おっさんは8時間で勇者をクビになったって事で良いんだよな?」


「うん、そういうこと」


 これから試合だっていうのに、『マモル』のヤツ、士気が下がるような事を言いやがって……。


「雷也、愛梨、それ食べたらちょっと行きたいところがある。もう23時半を過ぎるところだし、そろそろ連絡が来るはずだしな」


「じゃあウーロン茶飲んだら行くねっ!」
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