モバイバル・コード
「なんで教えてくれなかったの!?じゃあ死なないってコトじゃん!!はじめから!!」


「雷也、オレは、怒ってるんじゃない、お前、気づいたこと、なぜ全部言わない。多分、言ったら『負ける』と思ったから言わなかったんだろ!?」


 オレの親友は、絶対に裏切ったりなんかしない。絶対にだ。


「……そうだよ、龍ちゃんと愛梨の為に、言わなかった。だって、油断するでしょ、二人共……?」


「本当にそれだけっ!? ねぇ、他にはないの!?」


「無いよ、決定的な事はそれだけだよ!」


「つまりだ、山手線一周分、所持者から離れていても『発動』なんてされないんだよな。それに、やたらと電池パックの事を気にさせる文面が余計に怪しい気がした」


 オレの発言に雷也はゆっくりと頷いた。


「僕の想像だけど……。流石にミクロのカプセルに毒を仕込んで、遠隔操作で流せるなんて、自由自在な事は出来ないと思う。僕はそれっぽいことを話したけど、今の医学の技術じゃいくらなんでも遠隔制御が出来過ぎると思った」


 ただ、それと『執行』は話が違う。本当に消されると思う。
< 562 / 835 >

この作品をシェア

pagetop