モバイバル・コード
「たまーに、鋭い時、あるよね。大正解」


「分かるさ。いつも見てるから」


「龍ちゃんは、将来に不安無いの?」


「無いと言ったら、嘘になるけど。

今は『本戦』の事で頭がいっぱいだって、言いたい。けど、オレ達3人の中で対処方については解決した事だから、それは無視しておこう。将来の不安なんて腐るほどあるよ。愛梨より、ずっと」


「……人が消えたみたい。龍ちゃん、アッチ行こうよ」


 愛梨が立ってオレの腕を引っ張る。ベンチに座るのか。


「待って、何か飲むか?」


「じゃあ、ミルクティーがいいかな」


 ジーンズのケツポケから小銭を取り出して自販機に入れる。こうして、二人で缶ジュースを飲むと、男女関係なく、お互いの距離が1番縮まる気がするんだ。


 どんなメールや電話よりも。フェイストゥフェイスならぬ、ジューストゥジュースがオレのコミュニケーション術。


 肌寒い気温に愛梨が自然と腕を組んで来る。さながら、カップルのように。
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