モバイバル・コード
「自分の欲望を抑え付けて、克服する力のことだよ。オレは……思い通りになる事なんて、『ナイ』と決めつけてるから…だから不都合な事は『運命』だって一人で納得するのかもしれない」


 多分、それしか考えられない。自分の事なんて、あんまり考えないし考えたくもないけど。そのヒマがあるなら寝てた方がまだ良いと思う。


「ふぅん……そういう事なのかな。でも、龍ちゃんは……カッコいいよ。凄く。携帯が無くても、あたしは気にしないし」


「なんでもいいよ。とりあえず、一つだけ……雷也の事は疑うなよ。何か知ってるかもしれないが、間違いないことはオレ達にハッパかける為に言わなかったのは事実だと思う」


「うん……雷也は何を知ってるの?」


「こっちが聞きたいくらいだが、多分……『モバイバル』がどういうゲームなのか、知ってるのかもしれない」


 愛梨は小さくため息をついた。


「なんか、疲れたね。終わったらみんなで温泉でも行こうね。あたし、岩盤浴行きたいっ!」


 屈託の無い笑顔で、オレを見る。


 正直……愛梨のこの顔が1番好きだ。毎回心臓がドキンっと、大音量になる。


 男女の恋には『ギャップ』が必要だって、本で書いてあったな……。
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