モバイバル・コード
 携帯を地面に落として、頭を滅茶苦茶にかきむしる。異常な光景に、愛梨が小さく声を出した。


 頭を何度もかきむしった男は、もう一度このカメラににじり寄り……


 口角からは泡を吹き、目は完全にイッていた。


 次の瞬間、バタリと地面に倒れ……男は……。


「……マジ、かよ」


 オレのつぶやきに呼応するような、雷也。


「……マジ、だね」


「龍ちゃん、龍ちゃん怖い……この人……」


「『執行』されたんだ……ろうな。今の様子、見ただろ…?」


 携帯の画面はピクりとも動かない男を映し続けていた。ふっと、画面は切り替わり、タイプライターで打ったような文字が、オレの携帯電話に浮かんできた。黒い背景に、白い太文字。


 1文字、いちもじ、イチモジ、ずつ。
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