モバイバル・コード
 愛梨は自分の携帯と、オレの携帯を目を丸くしながら覗き込んだ。交互に見比べているようだ。


 続いて、雷也に『あ』と一文字送る。


 すぐに『既読』の印がついた。


──『ブブブーンブブブーン』

──【 メ ッ セ ー ジ 】──
■『L1ar4584』より■

【『あ』って送られてきたけど、何かな?『通信回線』に関して何か分かった事ある?】
──────────────

 【分かった】とだけ返して、愛梨に話を続けよう。


「電波だ。『通信回線の電波』が違う」


「電波?携帯の…?何言ってるの、電波が違うって……ほら、今あたし達は『Wi-Fi接続』を切って、『3G回線』になってる。ここ、電波が無いからもっと早い『4G回線』は使えないみたいだけど……」


「少なくとも、オレと愛梨は違う。今送った『あ』ってメッセージ、愛梨に届いていないだろ?」


「えっ!? あ、そういう意味で『あ』って送ってたの?龍ちゃんがあたしに送ったの、確かに届いてないよっ!」


 だが、このモバイバル七不思議の一つが解明出来ただけでも、かなりデカい。

「雷也にすぐにメッセージ送って。

『雷也とオレ』、『雷也と愛梨』は普通に連絡が出来るけど、『愛梨とオレ』がメッセージをすると10分近く遅れて返事が来る。

この理由は何か分かるかって」


「うん、分かった。あたしも……ちょっと思いついた事がある。打ったら話すね」

 
 愛梨がメッセージを打っている最中に、3回目の放送が流れた。
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