モバイバル・コード

　雷也が軽く溜め息をついてから話し始めた。


「そうだね。SNSの携帯ゲームばかりだね。なんだかんださ、兄貴は凄いよね。あんなもの作っちゃうんだから……。

僕さ、雑誌で読んだんだけど今のSNSのゲームのモデルを作ったのは兄貴が最初なんでしょ？

今じゃ中高生で知らない人は居ないよ。龍ちゃん以外はね。正直、天才だと思う」


「一言多いっつーの」


　声をかけつつ、後ろから雷也の肩を揉んだ。


「雷也、なんだかんだ言ってもお前は俺の弟なんだからお前も頭は良いだろ。今は学校で一番か何か知らないけど、この前の予備校の全国模試は何位だったんだ？」


「25位かな。兄貴は最高何位だったの？」


「模試は一度も受けてない」


　東大に受かる人が模試も受けてないって……。


「慶兄……どういう意味？」


　模試には全く縁がないオレが尋ねる。


「だから、模試とか受けてないって。もういいよ、この話は。あ、俺から聞いたんだっけ」