モバイバル・コード
 携帯電話でゲームをしてる同級生も、世界を掴んだ気持ちになるのだろうか。




 『強ければかっこいい』


 『ランキングが上だとみんなに尊敬される』




 正直、オレはそういった感覚が凄く嫌いだ。


 他人を蹴落として、自分が勝ち上がるという行為自体が好きではない。


 オレが興味があるのは『強い』『弱い』ではなく、どうしてそうなるかという『原理』や『発想』だ。


 昔からそうだった。



 人に何かを教わる時も、答えを聞くのではなく『発想方法』を聞いていた。


 どう考えたらその発想に行き着くのか、元を辿ることが好きだった。


 元が分かれば自分でいくらでも工夫の使用があるからだ。


 貧富に関係なく、唯一平等なものは頭の中だけ。


 買えないなら『作る』しかない。


 自分で唯一、好きなトコロは切り替えが早いトコロかな。



 そう考えている間に、いつもの弁当屋についた。



──『お弁当の惣菜のもりさわ』



 携帯電話をマナーモードにし、オレは店に入った。
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