モバイバル・コード
「しょうがないよ。携帯電話を触った事が無い人がいきなりメールをバンバン打てるわけないし、これだけでも大きな進歩だと思うよ」


 雷也がパンをくわえ、携帯を見ながら話した。昼間でもゲーム大会は待ってくれないらしい。


 上位ランカーというヤツは、二つの事を同時にしないとなれないわけね。


「まぁ……そうは言ってもせっかく貰ったんだ。オレも仕事で使うこともあるし、もう少し機能とか教えて欲しいな。

明日は学校も休みだし、今日の夜でも使い方を教えてくれないか?」



「いいよ」


 
 雷也が目線だけオレに向けた。メガネの奥のクールな眼差し、女子ならきゃーきゃー言って喜ぶだろう。



「あ……あたしも……行っていいかな? 部活無いし夜暇だし、ダメ?」



 愛梨が両腕を後ろに組んで尋ねてきた。
 


「ああ、雷也がOKならオレは良いよ」



 ふと、眠気が襲ってきた。



「ちょっと寝るわ、朝早かったからさ」



 午後の授業までまだ40分はある。机に伏せまぶたを閉じる。



 ……なぜか眠れない。



 普段は1分で眠れるのに。
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