スワロウテイル
「そんな……リコリス。私もだよ。私も、あなたと会えて、救われているの。会えなくなるなんて、そんなこと言わないで。」


リコリスは首を横に振った。


「どうしようもないことなの。私も、ずっとあなたといたかった。ねぇ、あなたはまるで蝶みたい。私を見つけて近づいて、私が手を伸ばしても捕まえられない。それでもあなたはそばにいてくれた。嬉しかったわ。ねえ、まだ自分のことが嫌い?」


リコリスが目から雫を流す。


それは頬を伝わり、それから赤い服に染み込んでいった。


私は言う。


「もう、気にならないわ。ううん、違う。好きになった。せっかく生まれてきた自分の身体だもの。あなたが私のこと、好きって言ってくれた自分だもの。」


「そう、良かった。それだけが心残りだったの。忘れないでね、あなたのことが大好きな私のこと。私が大好きなあなた自身のこと。もう、二度と自分を嫌いだなんて言わないで。あなたが持っている素敵なもの。あなたが自分をもっと良く知って、好きになって、これから生きていくことに必要なことを手に入れて。それから……強く生きて。いつでもあなたを見守ってる。いつか、また会いましょう。」


そして、リコリスの言葉が静かに消えて、シンとした暗闇が私を包んだ。




それが最期だった。


ふと気がつくと、私は一人で、暗い闇の中にいて、まるで夢を見ていたかのような、酷い酩酊感が私の頭を揺らしていて。


私は独りになっていた。
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