スワロウテイル
「リコリス?」


私が彼女を探そうと、その場所を見渡したが、そこにはたくさんの赤い花が咲いているだけだった。


この花の名前を私は知っている。


彼岸花だ。


今までは咲いていたと言う記憶が無い。


だけれど、私を包むように、その赤い花達は風の中で静かに揺れていた。


私は呆然と立ち尽くし、そうしてリコリスが髪を撫でた感触や、抱きしめ合った時の感触が身体に残っていて、その消えそうな体温を思い出し、私は泣いた。
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