幻恋
ぷろろーぐ。
「…おい春華(ハルカ)、危ねえぞ」
大好きな人に支えられ、私は振り返る。
「大丈夫だってばぁ!
もう、寧人(ヤスト)、心配し過ぎだよぉ
……きゃっ!」
中庭近くで、転びそうになる。
「危なっ!
…ったく、これだからお前は、ほっとけないんだよ」
「へへへ。
寧人、ありがと」
「…あのさ」
いきなり、私の事を見て笑っていた寧人が、真面目な真剣な表情に変わった。
そして、こう、言ったんだ。
「俺、お前の事が好きだ」
「…!」
「付き合ってくれないか?」
「……ハ、イ…」
もう夕暮れとなり、校舎に光が反射して輝いている光景の中…
私たちは、唇を重ね、素晴らしい恋の始まりとなった―――。
………筈だった。
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