幻恋
『あ、いや、何でも無いよ』
そう言って、そっぽを向いてしまった。
何て言ったんだろう?
結局、男の子が何を言ったか気付かないまま、いつの間にか男の子は姿を消してしまっていた。
…な、なんかよくわからないけど……
あの男の子、一言で言えば……
走るの、早っ!
私がちょっと見ていない間に、走って行っちゃうなんて。
運動会とか、全部参加とか?
まぁ、良いや…
…帰ろっと。
久しぶりに母校に来れて良かったし、吹奏楽部の皆も元気そうだった。
そう思い、私は正中を後にした。