幻恋
不思議な…
…次の日、私は何故かまた正中に来てしまっていた。
今日は、普通に真っ直ぐ家に帰ろうとしたのに、何故か不思議と体が正中に誘導されたかのように、来てしまった。
しかも、正中は正中でも、場所が、旧校舎から見て裏側にある、今は誰一人通る事の無い、校舎の陰で薄暗くなっている荒れ地のような場所。
…でも、私なんでこんな所にいつまでも突っ立っているんだろう?
ていうか、なんでこんな所に来たの?
そう思った矢先。
……ガサッ。
「だ、誰かいるの!?」
いや、あり得ない。
でも今確かに、その辺の雑草がガサッと音を鳴らした。
…今日は風一つ吹いてない。
つまり、これは、誰かの足音としか思えなかった。
…ガサッ!
「…っ!」
まただ…。
でも、こんな所に人なんか来ない。
まさか…幽霊?
すぐに逃げなきゃと思っても、恐怖のあまり足がすくんで動けなかった。
迫る足音……迫る、恐怖。
そうしている間に、ボヤァっと黒い人影が揺らめいていた。
い…嫌っ……嫌っ………!
そう思い、ギュッと目を瞑った。
「…あ?!お前、なんでこんなとこに」
「…えっ?」