幻恋
そんな感慨に浸っていた…その時だった
…ドンッ!!
誰かが、私の体に飛び込むように、物凄い勢いでぶつかって来た。
しかもそれが、あまりにも衝撃が凄過ぎて、私は思わず尻もちを付いてしまった。
「…悪い!
ご、ごめんなさい、大丈……あ」
私の顔を見て、いきなり黙りこくってしまった=私にぶつかって来たのは、私と同い年位の男の子。
いや… 完璧に、私と同い年の男の子だった。
あまりにも驚きの相手で、私も驚愕してしまった。
「…っ! …やす、と……。」
ぶつかって来た男子の名前。
川崎(カワザキ)寧人。
私の、“元”カレだった。
寧人とは、高校に入学する直前の春休みに別れた。
理由は、寧人の浮気からだった。
私が中三の時、寧人とクラスが別になってしまって、寧人と帰ろうと彼のクラスに行くと…………
…見たくない物を見てしまったような気分に陥った。
寧人が、クラスの女子と半裸の状態で、キスをし、どちらからともなく抱き合っていた。
何とも言えない絶望感と、やるせなさ、自分はこんなのと付き合っていたのかと言う後悔、何よりも、寧人の浮気に気付けなかった自分自身が許せなかった。