溺愛宣誓
27歳イケメン必死ですがナニカ?




会社に行くと待ち構えていたように同僚の保奈美ちゃんが話しかけて来た。


「織田さんが華ノ子を食事に誘いたいって。連絡先教えて欲しいって言うから教えちゃったけど、イイ?」


瞬間、色々突っ込みたい事が頭を巡った。

連絡先、教えちゃった後でイイ?って聞かれても…

引っ込み思案で、人見知りで、ネガティブ思考で、人によっては『ちょっと変わってる』らしい私。

そんな私を同僚であり友達であり、姉か母親のように思ってくれている保奈美ちゃんが『アンタそんなんでこの先どーすんのよ!』と心配して、この前の週末、無理矢理合コンに連れて行った。

当然ながら私は警察官の前で身を固くして項垂れる下着泥棒くらいにしゃべれず、顔も碌に上げられなかったけれど。

そんな状態でも周囲を行き交う会話はそれなりに耳に届いていて、先ほど保奈美ちゃんの口を吐いたその名前には確かに覚えがある。


「えっ、織田さん!?それって私の前に座ってた人、だよね?」


ちょっと前のめりに問い返す私に保奈美ちゃんはちょっと驚きながらも、次にはにんまりと口端を持ち上げた。


「へぇぇ。華ノ子も織田さんの事気になってたんだぁ。」

「え……ち、ちが……そ、そーいうんじゃないんだけど。」

「あの華ノ子が、あの華ノ子がっ、あーのー華ノ子がぁぁ、名前覚えてるなんてそー言う事でしょっ!?イイじゃないの!あの面子で織田さん一押しだったでしょ?」


三度!?

二度どころか三度言いましたよ、保奈美さん!


「や、あの…ホントにそーいうんじゃなくて……」

「華ノ子ってちょっと変わった子だと心配してたけど、少しはまともな感性を持ち合わせてたのね。」


保奈美ちゃんは私の訴えを完全スルーして「ち・な・み・に!」と得意げに人差し指を突き立てた。


「デートは今夜七時。駅で待ち合わせ、よっ!既にお膳立てはしてあるんだから頑張んなさいよね!」

「……………。」






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