溺愛宣誓
「カノが、カノがっ、カノがぁぁぁ。俺が出張なのを良い事にこんな年下の、年下の男と浮気なんてぇぇぇっ!!!」
「ちょちょちょっ、違います!うわっ浮気なんて違いますからぁ!」
確かに現在私の背後に居るのは本来私の家には居る筈の無い、可愛い年下の男の子だけども。
「彼はですね、あのそのっ」
「知ってる。カノの隣の家に住む惟任日向、五歳。だいふく組。」
「その通りです!よくご存じですね!」
「近隣住人には洩れなくご挨拶したと言ったろ?男には特に、な。(※六章参照)」
織田さんはくっと奥歯を噛み締めた。
「まさか、こんなお手軽な近場に浮気相手が潜伏していたとは…っ!カノはいつも俺と別れた後、隣からコイツを呼び付け、朝まで一体どんな事をして過ごしてきたというのか……!!」
私が五歳児と一体何をすると!?
「ひ、日向君が家に来たのは今日が初めてですし、特別遊んだ事もありませんよ!」
勿論、弄んだ事もない。
実は今日、日向君のお爺ちゃんが体調を崩し急遽入院した為、お母さんが病院へ向かわねばならなくなった。
旦那さんは単身赴任でいないし、何分急な話だったので日向君を預けられる場所がなく、隣のよしみで私がお預かりする事になったのだ。
「でもカノ、コイツの事を俺に隠そうとしたろ。何か疾しい事があるからじゃ…」
だから、私が五歳児相手に一体どんな事をすると疑ってらっしゃるので!?
勿論、疾しい事なんて毛頭ない。
無いけれど………絶対大事になりそうだったから、出来れば織田さんにバレずに穏便にやり過ごせたらなぁ、と思ったのだ。
そして案の定、大事になっている。