溺愛宣誓


「ぅわ…何か面倒臭そうなやつ、キタ…」


…ん?


ぼそっと聞こえた声を怪訝に思って振り返ってみれば、日向君が相変わらず天使みたいな顔で「なぁに?」と言いたげに小首を傾げて見せた。

あれ?気のせいか。


織田さんは厳めしい顔で日向君を見下ろした。


「例え五歳児といえども、カノの家に男が泊るなんて俺は許さん。大体男なら一晩ぐらい一人で留守番出来るだろ!と言う訳でハウス!」


ビシリと隣を指さす織田さん。

わぁ…キビシイなぁ。

そんな織田さんをきゅるんとした双眸で見上げていた日向君はこてっと可愛く首を傾げた。


「お兄さんはカノコおねぇたんの彼氏なんだよね。」

「ああ、そうだ!カノは俺の物。カノの家に泊れるのも彼氏の俺だけ。他の男なんざ―――」

「じゃあ、あれだね。これは将来のケッコン生活のよこーれんしゅうってヤツだね!」

「ああ、そうだ!結婚生活の予行練習………え?結婚生活…」

「お兄さんがパパでおねえたんがママで僕が子供~。パパァ~、お帰りなさーい!お仕事お疲れ様~♪」


むぎゅっと織田さんの足に飛びつく日向君。


「結婚…………いいな。…まぁ、俺とカノの子ならもっと可愛い筈だが。」


ブツブツ言いながら日向君の頭を雑に撫でた織田さんは徐に私に甘い笑顔を向けた。


「ただいま。俺の可愛い奥さん。」


ずきゅぅぅぅぅぅん!!!!


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