溺愛宣誓
それは悲しくも忌まわしい過去の記憶
:::::::::::::::【十二章】::::::::::
それは織田さんの家でマッタリと休暇を楽しんでいた日の事だった。
来客を告げるインターフォンが鳴ったのは午後の事。
どうやら来客は、この家の本来の主であり、織田さんの従兄弟という人物だったらしい。
彼は現在海外赴任しており、久々に日本の本社に出張する事になり、久しぶりに家に寄ったのだと言う。
「丁度いい機会だしカノも会ってもらってもいいか?や、カノが人見知りなのは知ってるし、俺もカノを他の男なんかに紹介したくは無いんだが(将来親戚付き合いするだろうし)。」
「は、はい!」
最後の方は何を言ったのか聞き取れなかったけど、私は大きく織田さんに頷いた。
いつもお家にお邪魔させて頂いているし、何と言っても織田さんのご親戚なんだもの。
織田さんの彼女として恥ずかしくないようにちゃんとご挨拶しなきゃ。
そんな意気込みで織田さんが紹介してくれた人と対面して私は目を見開いた。
「えっ…………華ノ子ちゃん?」
「………ふ、深光さん……」
相手の方も相当な驚きようだった。
……まさか、こんな所で再会するなんて…。