溺愛宣誓
でもあの事件で傷付いたのはきっと私より深光さんの方だ。
あの事件の後、家庭教師も止めてそれっきりになってしまって――――……
「へぇ…………………押し倒した、のか。」
呪詛のような声に私と深光さんはビクリと飛び上がった。
「お、織田さん…!」
リビングの扉の所で織田さんが仁王立ちになっていた。
今の聞いてらっしゃったんですか!?
一直線に深光さんに進んだ織田さんが躊躇もなく深光さんの胸倉を掴んだ。
「今まで深光さんの事は嫌いじゃなかったよ。そのトボケタ所も呑気な所も人に騙されやすそうな性格も……。」
「なんというか、俺凄くダメな人っぽい…」
「だがなカノを傷付けたとあっちゃ話は別だ。例えそれが過去の事でもな!押し倒したとか羨ましいとか思ってる訳じゃないぞ!思ってるけど、それ以上にムカツクわっ!」
「何か聞いちゃいけない本音が!?てか、ちょっ、まっ、ごか―――」
「わわ、待って下さい!織田さん――――」
問答無用で深光さんに振り下ろされようとする織田さんの腕に慌てて飛びつこうとした時だ―――