溺愛宣誓
「華ぁ―――…ノぉぉ――…子ぉぉぉ――――…」
実にオドロオドロシイ声が鼓膜を震わせ、ついでに後ろから伸びて来た腕がするぅりと私の肩越しに伸びて来た。
ひぃ!?
「って、おおおおお兄ちゃん!?」
振り向けば何故だか絶対ここには居る筈の無いお兄ちゃんが悪霊の如くに私の肩に纏わりついていた。
え!何!?
まさかとうとう幽体離脱を習得しちゃったとか!?
「…く…ふふ……華ノ子に会いたい一心で遊びに来ちゃったんだよー…。なのにマンションに華ノ子は居ないし………そこで携帯のGPSと言う名の僕の念力でここを探り当てたんだよ………。」
お兄ちゃん、通信会社の努力をしれっと自分の手柄にするのはどうかと…。
「…閑話休題。…こんな危険な場所に入り浸るなんて言語道断……さぁ、僕と共にここから早く脱出し―――…」
そこで修羅場体勢のままお兄ちゃんの出現にびっくら固まっている二人と、お兄ちゃんの世界が繋がったらしい。
「ぅ・ぅわぁぁ―――――――ぁ、うわぁぁぁ、うわわわあぁわぁ」
「ぅわうわうわあああ、ぁ゛ああああ゛゛゛゛」
途端、お兄ちゃんと深光さんは絶叫を放ち、それぞれ天敵に出くわしたGのように部屋中を物凄い早さで右往左往し、それぞれソファーとカーテンの陰に隠れて落ちついた。
「カノ…これは一体どう言う事なんだ?」
「えっと……それはですね…」