溺愛宣誓
心理学的な!?ハイッ!もう一丁!
:::::::::::::::::::::::::【十四章】::::::::::
ある日胡散臭い魔術師が不意に現れて私に言った。
魔術師、違った。
お兄ちゃんだった。
「華ノ子は…催眠術って知ってるぅ…?」
「意識を暗示のかかり易い変性意識状態へ持って行く事で、潜在意識に直接働きかけ被験者を操るというあの事?」
「心外な模範解答、ありがとぅぅ………。そう、それなんだけどね……。」
お兄ちゃんは心持得意げにてってれー☆とある物を取りだした。
「この度ぃ、馬鹿でもかけられる催眠術の道具を入手したぁぁぁ。」
「私は今お兄ちゃんがこれを何処から取り出したかのほうが不思議でならないよ?」
訝しがる私を余所にお兄ちゃんは言った。
「彼氏にかけてみなよ。」
「えっ…いきなりそこだけイイ滑舌…。」
「彼氏にぃぃぃ、かけてみなよぉぉ。華ノ子だって普段、ヤツに言いたくても言えない事を腹に溜めて溜めて溜めまくってんでしょうよぉ。この機会にさぁ、ぶっちゃけちゃおぅ?」
「えっ…でも私織田さんに言いたくても言えない事なんて…別に…」
「ま~ぁ、ま~ぁ、心配ナッティング……よぅ!潜在意識に語りかけるから催眠術時の事は記憶に残らないシステムだから…ねぇ…。」
「何でナッシングだけそんな本場仕込みっぽい発音なの?」
首を傾げる私を余所にお兄ちゃんは薄気味悪い笑顔でメイドインNASU(←既に偽ブランドっぽさ満載)のウルトラ超凄い本物の催眠術グッツ、とやらを私に握らせたのだった。