溺愛宣誓
「あ。あー…いやいや、そうは言っても彼ホント根は悪い奴じゃないから!自己中で我儘で自分勝手でちょっと口が悪いだけで、ホントイイヤツなんだよ。」
「アンタ…実は織田の事嫌いなの?」
「えっ!?そんな事ないよ。ないけど……どうにも彼を言葉で表すとそうなっちゃうんだよね。」
彼とそんな言い合いをしていた保奈美ちゃんが私に真顔を向けて言った。
「そんな男今すぐにでも別れなさい。」
「えっ……え?」
「そりゃね、華ノ子もイイ歳だし男の一人や十人も囲ってウハウハしなきゃって思って―――」
十人て…保奈美ちゃんは私をキャバ嬢に仕立てるおつもりですか?
「おあつらえ向きに合コンで織田が引っかかってくれちゃって、まぁあの顔だし、聞く限りでは仕事も出来る様だし?で、高物件かと薦めたのは私よ。だけど私の見込み違いだったわ。」
そこで保奈美ちゃんはカッと目を見開いた。
「日当たり良好、築浅、駅近、この間取りでこのお値段!?の好物件に見せかけて、実は一カ月前に殺人事件が起きて夜な夜な幽霊出ますけど、的なマンションと同じレベルの駄目物件だったのよっ!」
「え、えーと……私、霊感ないから心配いらないよ、きっと。」
「華ノ子~~~っ」
「イイ子だねぇ…」
サメザメと泣いていた保奈美ちゃんは徐に顔を上げた。
「ねぇ、さっきっから携帯が鳴ってるけど、華ノ子じゃないの?」
「え?あ、本当だ。…織田さんからだ!」