溺愛宣誓
私は五円玉をソファーの脇に置いて、織田さんの横にそろそろと近づいた。
ぴったり彼の身体に触れて、おそるおそると頭を彼の肩に乗せてみる。
清潔な洗剤の香りがフワリと鼻孔を掠める至近距離。
この時点で既に私の心臓がきゅうきゅうして悲鳴を上げている。
ああもう、これ以上は無理…
でもでも、折角だから練習しないと!
意を決した私は緊張MAXで既に涙目になった視線を上げ、ちわわみたいにプルプル震えながら言った。
「おそ…襲われて下さいっ!!!」
間違えた!!
叫んだ後、頭を抱える。
「ち、違った…襲って下さい……や、でもやっぱりだだだだだだ抱い…無理、い、言えない。あ。『して』とかならまだなんとか…ああでも『何を?』って聞かれたらどどどうしよう…」
いつか…いつか私がその気になって誘わなくちゃいけない時の為に練習をしておきたかったの。
そしてコレが練習で本当に良かった。
私の思考は羞恥の限界で混乱し、体温急上昇と動機息切れで早くも失神寸前だ。