溺愛宣誓
はぁ~、と太原が業とらしい溜息を吐き出す。
「その歳で初恋と言う訳でもないでしょうに、恋煩いとか止めて下さいよね。」
「は、…はぁぁ!?こここ、恋煩いだって?ななな何を言って…何のことやらさっぱり…」
「深夜ラジオ番組にキラキラペンネームで相談するとかマジ勘弁してくださいよー。昨日運転中に腹抱えて爆笑してのたうち回っちゃって、うっかり事故る所だったじゃないですかぁー。労災は勿論、個人的に慰謝料ふんだくりますよ?」
「ちょ…、何言っ……。て、のたうちまわって笑う要素がどこにあった――っ!?」
「副社長………昨日も昨日とてチンタラ仕事しくさった分際でそんな事をしてらっしゃった、と。」
「ししししてません。オフィスで電話などしてませんとも!きっと太原君の勘違いだ!」
「然様ですか。ですが、コチラは勘違いなどではございません。本日の会議の書類の中に紛れ込んでいた物をワタクシが見付けて抜いておきましたが。」
ペラリと朝比奈が一枚の紙を取り出す。
『君は可愛いバンビーナ。
茶色に白のドット。
水玉模様がキュートだね。
僕はシカせんべいを持ち歩く。
可愛い君といつでも一緒。…(以下略)』
「ぎゃははははは。ひーっ!ナニコレ!!!ポエム!?歌詞!?曲もあるなら歌って下さいよ!ぶひゃひゃひゃっ!イタイッ痛すぎる!俺の腹も捩れ切れそう!イタイ…っ」
そのまま死ね!太原!!
真っ赤になった天澤寺は奪い取った紙を隠しながら、本気で太原の暗殺を願う。