溺愛宣誓
人を突き飛ばし遮蔽物からその様子を眺めていた部下が普段のスーツ姿にサングラスで登場した。
え!?
ちょっ…君達、何のつもり!?
「ないわ~。男の戦闘服を汚しといてごめんなさいで済めば警察もクリーニング屋もいらないんじゃない?お姉さん…いや、お嬢さ~ん。あ。ちなみに俺達は通りすがりの親切な柄の悪い人達だから。」
「クリーニング二千円、コーヒー百円。精神的苦痛に対する慰謝料プライスレス。」
いきなり強引に彼女に絡みだしたぁー!
大体、親切な柄悪い人ってなんなんだよ、太原ぁぁ!
手に余る状況に天澤寺は顔を覆って項垂れる。
「あ、ご、ごごごめんなさい。私、一体どうすれば…」
「やだな。俺達だって鬼じゃないんだよん。出来れば穏便に示談で済ませたいじゃな~い。」
「精神的苦痛を軽減する為にお食事に付き合う程度が妥当かと思われます。」
「え…お食事…でも…あの…」
戸惑う彼女を横目に部下二人が天澤寺に目で訴えてくる。
“ヘイッ、ダメだしsay!”
え!?
ナニ、俺になんか言えって?
ツンデレ、俺様で?
「だ……誰が貴様のようなメス犬と一緒に食事に行くか。だが貴様がどうしてもというなら行ってやらない事も無いナリ。」
一体何キャラだ!?
本人含め部下二人は内心でシャウトする。
いきなりメス犬呼ばわりし突然豹変した天澤寺に華ノ子は大いにブルって、明らかに恐怖に怯えた体で「おおおおお伴させて頂きます。」と震えた声で応えた。
思いもかけず華ノ子とお食事!
部下二人はドヤ顔をしていたが、天澤寺は褒めるのも礼を言う気にもならなかった。