溺愛宣誓
私の隣に織田さんが腰を落ち着けて直ぐ。
「先ほどご注文いただいたハウスワインです。」
店員さんが運んできたワインを「ああ。どうも。」と織田さんが受け取った。
「最初から同席する気満々じゃあないですか…。」大三さんが引きつり笑いで突っ込む。
私はそんな大三さんのツッコミをスルーし、織田さんにうっとりする。
「わぁ…やる事に卒が無くて、格好イイ……」
思わず洩れた本音はとてもちっちゃかった筈だけど、織田さんの耳にはちゃんと届いてしまったようで、照れたような笑みが浮かぶ。
「そういう所…些細な事も一々褒めてくれる素直なカノは本当に可愛い。」
「お、織田さんこそ…っ」
照れた私は赤い顔を隠すように俯いて、別に汚れていないテーブルをおしぼりできゅっきゅと拭いた。
ああ、この調子で織田さんに甘い言葉を浴びせられ続けたら、テーブルが鏡になってしまいそう。
半眼でビールを煽りながら保奈美ちゃんが肘で大三さんを突いた。
「ねぇ…聞いてたのと違うんですけど。てか悪酔いしそうなんですけど。」
「う、うん。俺も初めて遭遇する織田っちにどう対処して良いものか分からない…」
きゅっきゅっきゅっきゅとテーブルを磨いていた私は不図右腕が織田さんと触れ合っているのに気付いてほんのちょっと左側へ移動する。
でも気が付くとまた触れていて、また左へ………
「って、お、織田さんっ。」
近いです!!
気が付いたら私は逃れる余地もない程壁際に追い詰められていて、右にはピッタリと織田さんが張り付いている状態に。