溺愛宣誓
必死に口をもごもごしながら段々涙目になっていく私。
…誰かタスケテ。
そんな心の叫びが誰に聞こえる筈もなかろうに、不意に顎がすっと掬われた。
へ?
目をパチクリと瞬かせれば、涙でぼやけた視界に織田さんの微笑があって。
―――コクリ
彼の喉仏が上下するのが見えた。
あ。ちょっと男を感じてドキドキしちゃいます……
って、言うか!!
ちょ…えっ!?待って!!!
私のお口の中の味のないガム的な何かが、無くなってるんですけどっ。
ちょちょちょ……織田さん今何を致しましたか!?
ギッ、ギッ、ギッ…と油の切れたロボットみたいな動きで向かいに顔を向ける。
―――バッ、
と保奈美ちゃんと大三さんは揃って両手で両眼を覆った。
見猿(みざる)!!!
いやぁ―――、その真っ赤な顔でやらないでぇぇぇ!!!
「思った以上にひ弱い顎も、泣きそうな顔も凄く可愛いけど。いつまでも眺めてちゃ、イジワルだって嫌われちゃいそうだしな。それと次からはカノがちゃんと食べれるようにもっと考慮する。」
コレが女の子に冷たい織田さんだとしたら、優しい織田さんって一体どんだけ甘くなるの!?
経験乏しい私には既に途方に暮れるレベルなんですがっ!!
ヒートアップし頭からプシューと蒸気をだしながら私はボンヤリ思う。
恋人のお付き合いって想像を絶する甘さ。
というか、織田さんと言う人はやっぱり私の想像を超えた人だった……。