溺愛宣誓




「カノって意外とお酒弱いんだね。」


飲み会も終わり、お店の前で保奈美ちゃん達と別れて、織田さんに送ってもらう道すがら。

よたよたふらふら産まれたての子鹿並みに足元の覚束ない私を織田さんはさり気に腰に腕を回し支えてくれている。


「付き合いは大切だから飲み会を止めやしないけど、あまり呑まないように。俺の居ない時は絶対ね。」


ああ…織田さんってホント気遣い上手で、優しいなぁ。

そんな彼にあんまり心配は掛けたくないからちゃんと説明しておこう。


「だ、大丈夫です。お酒は結構強い方ですから。…今日はお酒に酔った訳じゃなくて織田さんに酔っただけだもの…。」


織田さんの強烈な甘さに!

あの後も織田さんは激甘攻撃の手を緩めず、私は何度憤死しかけた事か…。

あの強酒の保奈美ちゃんですら帰り際「…何か悪酔いした。」と口元を押さえていたくらいだもの。

彼に自覚はあるのだろうか、とチラリと織田さんを伺えば、織田さんはほんのり赤く染まった顔でぼそっと言った。


「……カノの小悪魔。」


えぇっ!?私!?

私が一体何を!?


彼氏の思考回路が益々分からない私であった。






―――ちなみに後日


「な・ん・でっ!貴様が大三さんって呼ばれてて俺が織田さんなんだよ!!人の彼女に何勝手に名前呼ばれてんだ貴様、すっげームカツク!!」

「ぅわぁぁ。知らないよっ!俺の所為じゃナイでしょっ。」


それは保奈美ちゃんが大三と呼んでいたからなのだが…

大三さんが織田さんの理不尽な勘気を被っていた事など知る由もなかった。



::::::::::【とあるキス…というか租借記念日:end】
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